1人抄読部 兼 読書部

生命科学系の論文のサマリーを読んでいきます。また時々趣味の読書の感想も書いていきます。

Regulation of embryonic haematopoietic multipotency by EZH1

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Regulation of embryonic haematopoietic multipotency by EZH1

 

私たちの成体哺乳類の体内を循環する全ての造血細胞系譜は、多能性造血感細胞(HSC)から分化している。一方、哺乳類胎生期においては、系譜が制限された前駆細胞は、最初にHSCとは独立に妊娠後期に発現する。マウスでよく定義されているように「原始的」前駆細胞は、交接後7.5日後に卵黄嚢に最初に出現する。その後、胎児期のヘモグロビンを発現する赤血球・骨髄球前駆細胞は、リンパ球系前駆細胞と同様に、卵黄嚢や固有胚において発達するが、これらの細胞はHSCの機能を欠いている。究極的には、放射線照射後の成体に移植された際に長期間他系統への分化能を有する「永久」HSCは、交接後10.5日後に、大動脈-生殖腺-中腎および他の血管系において血管内皮細胞から発生する。この造血個体発生の逆行性進行の分子メカニズムは未だよくわかっていない。私たちは、恒久的な造血プログラムは、エピジェネティックなsilencing6を通して胎生早期に活発に制限され、この抑制を軽減することで、系統が制限されている造血前駆細胞の多能性を引き出すことができるかもしれないという仮説を立てた。私たちは今回、ポリコームグループのタンパク質であるEZH1の発現低下が、ヒト多能性幹細胞からの多リンパ球産生を増強するということを示すことができた。それに加え、マウス胚におけるEZH1欠損は、in vivoで永久的に機能を有するHSCの未熟な発現につながる。私たちは、哺乳類の胎生初期において造血多能性を制限する因子としてのEZH1を同定した。