1人抄読部 兼 読書部

生命科学系の論文のサマリーを読んでいきます。また時々趣味の読書の感想も書いていきます。

【読書感想】雪国

言わずと知れた川端康成の小説ですが、いまさらながら読了…

 

日本語が大変美しく、歴史に名を残す文豪はこんなにも洗練されつくした日本語を物語の最初から最後までつづることができるのかと驚きを隠せない気持ちでした。

 

川端氏はノーベル文学賞を受賞していますが、外国人であろうノーベル賞選定者が、仮にどんなに優れた翻訳者による訳であろうと、この際立って耽美な日本語を十分に理解していると言えるのだろうか…とやや不思議に思う気持ちもないわけではありませんでした。しかしノーベル文学賞にまさにふさわしいレベルの作家であることも痛感させられる思いでした。

 

ストーリーは起承転結がはっきりしているわけではないので、その点は人によっては面白くなく感じるかもしれません(実際、私も幾分かは感じました)。時代背景を理解するのにもやや時間を要し、また注釈が非常に多く、これに気が散ってしまう部分もあり、内容に集中するには2回ほど通読するのが良いかもしれません。

 

非常に有名な作品ですが、若いうちに読んでおくべきかと問われると、駒子と島村の関係や官能的描写を、芸術として捉え、ある程度理解・共感するにはそれなりに大人になってから読むほうがよいように個人的には思います。