1人抄読部 兼 読書部

生命科学系の論文のサマリーを読んでいきます。また時々趣味の読書の感想も書いていきます。

Lnk controls mouse hematopoietic stem cell self-renewal and quiescence through direct interactions with JAK2.

 2008 Aug;118(8):2832-44. doi: 10.1172/JCI35808.

Lnk controls mouse hematopoietic stem cell self-renewal and quiescence through direct interactions with JAK2.

 
巨核球の産生という役割以外に、トロンボポエチン(TPO)活性化によって誘発される、受容体、骨髄増殖性白血病ウイルスプロトオンコジーン(c-Mpl, or Mpl)のシグナル伝達は、HSCの恒常性や自己複製能を制御している。定常状態下では、阻害性アダプタータンパク質であるLnkが欠損しているマウスは、自己複製能が増強したHSCをプールしているとされている。我々はLnk欠損マウスのHSCは、ワイルド・タイプのHSCと比較して、休止期分画の増加、細胞周期動態の減速、in vivoでの細胞破壊性5-フルオロウラシル(5-FU)反復治療に対する耐性増加が見られることを発見した。さらに我々は、LnkがHSCの休止期と自己複製能を主にMplを介して制御しているという遺伝学的確証を得ることに成功した。この所見とも整合性が取れるが、Lnk欠損HSCはTPOに対するJAK2の特異的な活性化を強化することが分かった。生化学実験により、LnkはTPO刺激によりJAK2のリン酸チロシン残気に直接結合することが分かった。注目すべきことに、骨髄増殖性疾患において高頻度で見られるJAK2 V617F変異は、Lnk結合能を有している。しれゆえ私たちは、Lnkは幹細胞におけるJAK2の生理的ネガティブ・レギュレーターであり、またTPO/Mpl/JAK2/Lnkは幹細胞の自己複製能と休止期をコントロール主要な制御経路であると認識することができるだろう。