1人抄読部 兼 読書部

生命科学系の論文のサマリーを読んでいきます。また時々趣味の読書の感想も書いていきます。

The bone marrow microenvironment at single-cell resolution

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The bone marrow microenvironment at single-cell resolution

Programmable bacteria induce durable tumor regression and systemic antitumor immunity

Programmable bacteria induce durable tumor regression and systemic antitumor immunity

Profiling of Pluripotency Factors in Single Cells and Early Embryos.

 2019 May 16;177(5):1319-1329.e11. doi: 10.1016/j.cell.2019.03.014. Epub 2019 Apr 4.

Profiling of Pluripotency Factors in Single Cells and Early Embryos.

 
細胞運命の決定は、胚発生の中の細胞小集団において作用するsequence-specific transcription factors (TFs)(配列特異的転写因子)により制御されている。In vivoにおけるその機能を理解するには、これらの細胞における転写因子binding sites(結合部位)を同定する必要がある。しかしこれまでの方法では、転写因子を単一細胞レベルで、あるいはその近くでゲノムワイドにプロファイルすることはできなかった。今回我々は、1つの細胞あるいは着床前の個別胚など少ない細胞数で転写因子をプロファイルするための方法としてthe cleavage under targets and release using nuclease (CUT&RUN) methodを提示する。単一細胞実験により、ほんの少数の転写因子結合部位がほとんどの細胞で占められていることが示唆された。これは多細胞研究におけるピーク強度測定結果とも広く一致している。さらに我々は、多能性TF NANGOによるクロマチン結合は個々の胚盤胞におけるSWI/SNFに強く依存しているにもかかわらず培養細胞においてはそうではないことを今回提示する。すなわちUltra-low input CUT&RUN (uliCUT&RUN)は、様々な疾患や発生過程において重要だが希少な細胞集団におけるTF結合の同定を可能にすることができる。

Rantes/Ccl5 influences hematopoietic stem cell subtypes and causes myeloid skewing

Rantes/Ccl5 influences hematopoietic stem cell subtypes and causes myeloid skewing

Aysegul V. ErgenNathan C. Boles and Margaret A. Goodell
造血幹細胞(HSC)加齢に伴い劇的な変化を見せる。再構築機能の喪失を伴うHSC絶対数の増加や骨髄系細胞産生へと分化割合が変化していくことなどがマウスHSCの加齢の主な指標となっている。今回我々は、マウスの彼骨髄環境において炎症性サイトカインであるRantesが高レベルに観察されたことを示す。レトロウイルスを利用し、骨髄前駆細胞にRantesを強制発現させることにより、T細胞産生低下につながり、ex vivoでHSCをRantesに短時間曝露させると、骨髄前駆細胞の増加とT細胞分化の減少につながることが観察された。対照的に、Rantesノックアウト動物は、myeloid-biased HSCsと骨髄前駆細胞の減少、またT細胞とlymphoid-biased HSCsの増加が確認できた。ノックアウトHSCは、そのサブタイプ割合を移植後も維持し、より多くのlymphoid-biased HSCs産生を示した。また、Rantes欠損は、KSL細胞におけるmammalian target of rapamycin (mTOR)活性低下を招くことが分かった。ヘテロクロニックな移植環境下では、加齢マウスのHSCが若いマウスに移植された場合、骨髄系細胞の産生は減少する子tが分かった。これらのデータから、年齢に依存した骨髄系細胞分化傾向に関して、環境因子における重要な役割をCCL5が果たしていることを示している。これは加齢によって生じる免疫不全にも関与しているかもしれない。

CCR5 Signaling Promotes Murine and Human Hematopoietic Regeneration following Ionizing Radiation

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CCR5 Signaling Promotes Murine and Human Hematopoietic Regeneration following Ionizing Radiation

Defining Hematopoietic Stem and Progenitor Cell Turnover by Analysis of Histone 2B-GFP Dilution

. Author manuscript; available in PMC 2010 Jan 12.
 Defining Hematopoietic Stem  and Progenitor Cell Turnover by Analysis of Histone 2B-GFP Dilution 
 
造血幹細胞(HSC)はそれほど頻繁には分裂しないと考えられている。これは、細胞周期の短い細胞を標的としている細胞障害性への抵抗を示すためであり、ヌクレオチドアナログである5-bromodeoxyuridine (BrdU)などのラベルを保持することができる推定されてきた。しかし近年、BrdU保持はHSCに対し感度も特異性も低いことが分かってきた。今回我々は、Histone2B (H2B)-Green Fluorescent Protein (GFP)をマウスにおいて一過性に、トランスジェニックに発現させることで、より優れたHSC標識を可能にし、他のマーカーと組み合わせることによりHSCの細胞周期をより正確に分析することが可能であることを示す。非常に性格なHSCのマーカーの組み合わせであるL−K+S+CD48−CD150+を用い同定されたHSCにおいて、H2B-GFP減退の数学的モデルを使用することにより、HSCの増殖率は予想外な異質性を示し、また、HSCの約20%が1日につき0.8-1.8%以下という非常に低いターンオーバーをしていることが示唆された。また、単離したL−K+S+CD48−CD150+ HSCsを異なるH2B-GFPレベルごとに移植することで、高レベルのH2B-GFPラベル保持と長期再増殖能は挿管していることも示された。

【読書感想】コンビニ人間

読書会の課題図書であったため読了。引き込まれる内容であり、ページ数も少なかったことからあっという間に読み終わりました。

 

「普通」とは何か、というのが大きな一つのテーマとなっているようだが、多様性多様性といいつつも実は見えない同調圧力にまみれた現代の日本をよく表している作品だと思いました。一見おかなしな主人公・古倉さんの言動や行動にも、部分的には共感できるという人はかなり多いのではないかと感じました。

 

18歳から36歳まで18年もコンビニバイトを続ける主人公は、支持されたマニュアル通りのことをきっちりこなし、コンビニでなく一般企業ならかなり有能な人物なのでは?という気がしましたが、他の読書会参加者から、これを通して資本主義社会を皮肉っているのではという意見が出てなるほどと思いました。

 

また、ラストはハッピーエンドなのか、バッドエンドなのかという話にもなりました。個人的には、現代は本当に多様な職業があるので、彼女がもっとストレスなくハッピーに暮らしていける場所がコンビニ以外になかったのか、という気持ちから、あまりハッピーエンドとはいえないのではないかと思っていました。しかし、他の参加者からは、これがコンビニではなく、たとえば地雷撤去NGOだったり、途上国支援ボランティア団体であったり、伝統工芸をうけつぐ職人であったりしたら、「彼女は素晴らしい道のりを見つけた!」と称賛されるされるところを、そうならないのはコンビに対する偏見ではないか、という意見が出てそれもその通りだなと納得する思いでした。

 

結局、彼女にとっての幸せとは何か、というのが最後までよくわかりませんでしたが、こてこての純文学臭をいい意味で出さず(=文学的な、いわゆるかっこいい表現や言い回しを用いず)、現代社会をよく表した一冊だなと思いました。