1人抄読部 兼 読書部

生命科学系の論文のサマリーを読んでいきます。また時々趣味の読書の感想も書いていきます。

Widespread intronic polyadenylation inactivates tumoursuppressor genes in leukaemia.

Widespread intronic polyadenylation inactivates tumoursuppressor genes in leukaemia.

 2018 Sep;561(7721):127-131. doi: 10.1038/s41586-018-0465-8. Epub 2018 Aug 27.

Widespread intronic polyadenylation inactivates tumoursuppressor genes in leukaemia.

 
DNA変異は、がんの誘発因子であることが知られている。私たちは今回、がんにおいて制限されているmRNAイベントが遺伝子変化を機能的に模倣できるのかといったことを調べた。RNAシークエンスまたは3'末端シークエンス技術を正常なB細胞と59人のCLL患者の悪性B細胞において適応した。Primary CLL細胞において、通常より短縮されたmRNAやタンパク質の広汎な制限が遺伝的変化によってではなくイントロンポリアデニル化によって起きていることを私たちは発見した。イントロンポリアデニル化によって短縮されたmRNAは頻繁に発生しており、また、がん抑制機能を持った遺伝子の影響を主に与えていることが分かった。イントロンポリアデニル化によっておきた短縮タンパク質はしばしば、DICERやFOXN3といったフルレングスの責任タンパク質が持っているようながん抑制機能が欠損していることが多い。また、CARD11, MGAやCHST11など発がん的機能を示すものも見られた。CLLにおいては、異常なmRNAプロセッシングによるがん抑制遺伝子の不活性化の方が、遺伝的事象によってがん抑制機能が失われることよりも、より頻繁に起きていたのである。さらに、私たちは今回、白血病においてはイントロンポリアデニル化によって、及び固形腫瘍においてはDNA変異によって、不活性化されたがん抑制遺伝子の新しい候補を同定した。これらの遺伝子は、全体的突然変異率はよく知られているがん抑制遺伝子と比較して低く、悪性腫瘍領域での研究はまだ不十分である。DNAレベルでは沈黙しているmRNAイベントは、がん抑制遺伝子の不活性化を通し癌の病因に広く寄与しており、がん診断において遺伝子分析を超えた研究が必要があることを私たちの発見は示している。