1人抄読部 兼 読書部

生命科学系の論文のサマリーを読んでいきます。また時々趣味の読書の感想も書いていきます。

Targeting glioma stem cells through combined BMI1 and EZH2 inhibition.

 2017 Nov;23(11):1352-1361. doi: 10.1038/nm.4415. Epub 2017 Oct 9.

Targeting glioma stem cells through combined BMI1 and EZH2 inhibition.

Jin X1,2,3Kim LJY1,4,5,6Wu Q1,6Wallace LC1Prager BC1,4,5,6,7Sanvoranart T1Gimple RC1,4,5,6Wang X1,6Mack SC1,8Miller TE1,4,5Huang P1Valentim CL1Zhou QG1Barnholtz-Sloan JS9Bao S1,7,9Sloan AE9,10Rich JN1,6,7,9.
 
グリオブラストーマ(神経膠芽腫)は、血管新生とシュードパリセーディング(偽柵状配列)で定義される致死的な疾患である。今回、我々は、これらの組織学的特徴が、神経前細胞の特徴を有する血管領域、間葉パターンを呈する低酸素領域という、異なる転写プログラムに基づいて起こることを証明した。これらの領域は、グリオーマステムセル(GCS)を含んでおり、この2つのNicheのエピジェネティックな制限について調査した。前神経血管周囲のGSCはEZH2を活性化し、一方で低酸素領域における間葉系GCSはBMI1蛋白を発現しており、E3リガーゼRNF144Aをダウンレギュレーションすることでこの蛋白がストレス下で細胞生存を促進している。遺伝的及び薬理学にこれを阻害することで、我々は、前神経GCSはEZH2低下により感受性が高いのに対して、間葉系GCSはBMI1タンパク質の阻害により感受性が高いことが分かった。グリオブラストーマが、前神経・間葉GCS両方を含んでいること考えると、EZH2とBMI1を組み合わせて標的とすることは、in vivoでも培養でも単独で使うよりも効果的であることが示され、これはグリオブラストーマの中のいくつものエピジェネティック制限因子を同時にターゲットとする戦略が、腫瘍内部が組織学的に不均一であることから治療抵抗性腫瘍を克服するのに有用である可能性を示唆している。