Prevention of Lethal Murine Hypophosphatasia by Neonatal Ex Vivo Gene Therapy Using Lentivirally Transduced Bone Marrow Cells.
Prevention of Lethal Murine Hypophosphatasia by Neonatal ExVivo Gene Therapy Using Lentivirally Transduced Bone Marrow Cells .
Iijima O1, Miyake K1, Watanabe A1,2, Miyake N1, Igarashi T1,3, Kanokoda C1, Nakamura-Takahashi A1, Kinoshita H4, Noguchi T5, Abe S5, Narisawa S6, Millán JL6, Okada T1, Shimada T1.
低ホスファターゼ症は、遺伝性の骨格・歯牙の疾患であり、tissue-nonspecific alkaline phosphatase (TNALP)をコードしている遺伝子の変異によって機能が失われることによって起きる。重症型に見られる症状としては、骨形成不全、呼吸不全、てんかん発作などが挙げられる。2015年、骨親和性を有するTNALP-D10の組み込みを利用した遺伝子治療が、日本、カナダ、ヨーロッパにおいて小児の低ホスファターゼ症の治療として承認された。しかし、酵素補充療法は、半減期が短いため頻回の酵素皮下注を要する点が問題であった。今回の研究で、私たちは、TNALPノックアウト・低ホスファターゼ症モデルマウス(Akp2(-/-))に対し、可溶性TNALPのC末端にD10配列が結合した骨標的TNALPを発現したレンチウイルス形質導入骨髄細胞(BMC)を用いた、新生児ex vivo遺伝子治療の可能性について検討した。Akp2(-/-)マウスは通常、成長不全、てんかん発作、骨形成不全のため、20日以内に死んでしまう。しかしTNALP-D10 (ALP-BMC)を発現したBMCを、新生児Akp2(-/-)に経静脈的に移植すると、非移植マウスと比較し、生存期間が延長し、また骨形成不全の改善が見られた。治療されたAkp2(-/-)マウスは正常の外観を有し、実験期間中にてんかん発作を来たすことはなかった。レンチウイルスを用いて経汁転換されたBMCは効果的にレシピエントマウスに移植され、少なくとも3か月間にわたり治療に必要な容量のTNALP-D10 を継続敵に供給した。さらに、TNALP-D10 の過剰発現は、レシピエントマウスにおける他系統再構成に影響を与えなかった。血漿中のALP活性は、治療マウスにおいては高いレベルで維持され、組織中のALP活性は、骨表面で選択的に観察され、腎臓やその他の臓器では観察されなかった。治療マウスにおける異所性の石灰化は起きなかった。これらの結果は、レンチウイルスによって形質導入されたBMCは、Akp2(-/-)を助ける幹細胞ベースの酵素補充療法のために貯蔵庫となり得ることを示している。新生児のex vivo遺伝子治療は、重症型低ホスファターゼ症治療の選択肢となるであろう。