1人抄読部 兼 読書部

生命科学系の論文のサマリーを読んでいきます。また時々趣味の読書の感想も書いていきます。

Haematopoietic stem and progenitor cells from human pluripotent stem cells.

 2017 May 25;545(7655):432-438. doi: 10.1038/nature22370. Epub 2017 May 17.

Haematopoietic stem and progenitor cells from human pluripotent stem cells.

Sugimura R1,2,3,4Jha DK1,2,3,4Han A1,2Soria-Valles C1,2,3,4da Rocha EL1,2,3,4Lu YF1,2,3,4Goettel JA5,6Serrao E7Rowe RG1Malleshaiah M8Wong I9Sousa P1,2,3,4Zhu TN10Ditadi A11Keller G11Engelman AN7Snapper SB5,6,12Doulatov S1,2,3,4Daley GQ1,2,3,4,13.
 
多能性幹細胞は、モルフォゲンへの段階的曝露を通し胚の発生を模倣したり、マスター転写因子を強制的に発現させることで1つの分化した細胞を別のものへ変化させたりするなどの方法で、様々な系統の組織への分化を可能としてきた。今回私たちは、機能的ヒト造血幹細胞を培養するため、モルフォゲンによってヒト造血幹細胞が造血性内皮細胞へ分化させ、また26の幹細胞特異的転写因子が、マウス宿主において移植細胞が他系統への造血を促進する能力があるかをスクリーニングした。その結果、私たちは、一次・二次マウスレシピエントにおいて7つの転写因子(ERG, HOXA5, HOXA9, HOXA10, LCOR, RUNX1 and SPI1)が造血内皮細胞を骨髄やB細胞、T細胞への分化を可能にする造血幹細胞、造血前駆細胞へ変化させるのに十分であることが分かった。私達のモルフォゲンにより誘導される分化と転写因子を介した細胞運命の変換を組み合わせたアプローチは、多能性幹細胞から造血幹細胞や造血前駆細胞を生み出し、ヒト化マウスにおける血液疾患モデルや遺伝性血液疾患に対する治療戦略を促進すると考えられる。