1人抄読部 兼 読書部

生命科学系の論文のサマリーを読んでいきます。また時々趣味の読書の感想も書いていきます。

★Human bone marrow hematopoietic stem cells are increased in frequency and myeloid-biased with age

 2011 Dec 13;108(50):20012-7. doi: 10.1073/pnas.1116110108. Epub 2011 Nov 28.

Human bone marrow hematopoietic stem cells are increased in frequency and myeloid-biased with age.

 
ヒト造血システムにおいて、加齢は骨髄細胞性(cellularity)の低下、免疫システム機能応用能の低下、貧血の増加あるいはその他の血系疾患・造血器腫瘍の増加に関与している。近年の研究では、HSC細胞群の加齢による変化は、これら年齢に関与した造血病態に大きく寄与していることを示唆している。マウス造血幹細胞は、加齢によって量的にも質的にも変化するが、ヒト造血幹細胞・造血前駆細胞の彼による変化は、未だその特徴の解明が十分とは言えない。加齢に関係したヒトの造血機能不全に関与していると思われるヒトの加齢造血システムを解明するため、健康な正常若年および高齢の骨髄サンプルを用い、免疫表現型で定義されるHSCとその他の造血前駆細胞群を解析した。その結果、高齢ヒトHSCは若年と比較して、その割合が増加し、また休止細胞が少なく、myeloid-biasedの分化能を示した。また遺伝子発現プロファイリングによって、ヒトHSCは、細胞周期、骨髄特性、骨髄腫瘍に関連する遺伝子の転写をアップレギュレートしていることが分かった。これら、ヒトHSCの割合や発達能や遺伝子発現プロファイルの変化は、マウスのHSCで見られているものに類似しており、造血における老化は進化の過程の中でも保存されたプロセスであることを示唆している。