1人抄読部 兼 読書部

生命科学系の論文のサマリーを読んでいきます。また時々趣味の読書の感想も書いていきます。

Emerging Role of CRISPR/Cas9 Technology for MicroRNAs Editing in Cancer Research.

 2017 Dec 15;77(24):6812-6817. doi: 10.1158/0008-5472.CAN-17-2142. Epub 2017 Dec 5.

Emerging Role of CRISPR/Cas9 Technology for MicroRNAs Editing in Cancer Research.

 
MicroRNAs (miRNA)は小さな、ノンコーディングRNA分子(タンパク質へ翻訳されずに機能するRNAの総称であり、非翻訳性RNA(non-translatable RNA)ともいう)はがん発病のプロセスの中で重要な課題を制限するのに主要な役割を果たしている。癌のあらゆるステージにおいて異なるmiRNAが活性化され、例えばオンコジーンとして機能するものなどがあるが、このため癌の診断治療の適切な分子ターゲットとなりうる。RNAを介した介入は、真核生物における遺伝子発現の配列特異的制限に対する主要なアプローチの一つであった。近年では、外部から侵入した遺伝物質に対する免疫応答として細菌、原虫において最初に発見されたthe CRISPR (clustered regularly interspaced short palindromic repeats)/Cas9システムが、生命科学分野における基礎研究や治療を目的としたゲノム配列編集のための特異的分子ツールとして研究されてきた。miRNAを含む微小ノンコーディングRNAは、機能喪失を評価するためのオープンリーディングフレームを欠いているにも関わらず、CRISPR/Cas9システムの標的となり得るというエビデンスが増えてきている。それゆえ、CRISPR/Cas9テクノロジーはmiRNA発現の修飾に対して、頑丈であり、特異性が高くかつ安定な、新たな遺伝子編集戦略の代表的手法である。ここでは、実現可能な戦略として、mi-RNA遺伝子変異とmi-RNAに基づいた治療介入が世界的に探究されてきた、CRISPR/Cas9テクノロジーを用いたゲノム編集の現在の知見の鍵となる特徴を要約する。CRISPR/Cas9の中隔成分をヒトの細胞に、ウイルスを用いず発現させるという臨床における新たな戦略についても批判的吟味を行う。