1人抄読部 兼 読書部

生命科学系の論文のサマリーを読んでいきます。また時々趣味の読書の感想も書いていきます。

Lineage switch in childhood acute leukemia: an unusual event with poor outcome.

 2012 Sep;87(9):890-7. doi: 10.1002/ajh.23266. Epub 2012 Jun 8.

Lineage switch in childhood acute leukemia: an unusual event with poor outcome.

 
稀ではあるが、急性白血病の治療中にリンパ球系と骨髄球系がスイッチすることがある。正しい診断は、系統変換の免疫表現型検査と、表現型が変化するにもかかわらず細胞遺伝学的/分子的変化は残存するということを確認することに依存している。合計1482人の小児患者の中から、我々は、0.9%にあたる9人のlineage変換例を同定した。このうち、7人がリンパ球系(4人がPro-B、2人がPre-B、1人がCommon型)から骨髄単球系への変化であり、2人は骨髄系(bilineal, with myeloid predominance)からPro-Bへの変化であった。8人は乳児であった。スイッチは形態学的に評価され、治療開始から中央値15日間(範囲:8日から6か月)で変化が見られた。しかし5人は15日より前に系統変化が起きた。全患者において、クローン異常の安定性を、細胞遺伝学的に、RT-PCR/Ig-TCR rearrangement studiesによって評価した。11q23/MLL遺伝子異常が7人で確認された。治療スケジュールは、ALL(2人)、Interfant-99(5人)、AML(2人)プロトコールであった。新たな病型系統に合わせて化学療法を変更したものの全ての患者が死亡した。今回のデータは、lineage switchにMLL遺伝子得hに画関与している可能性があること、common lymphoid B-myeloid precursorが関与している可能性を示唆している。このような稀な症例には新たな治療法が開発されるべきであり、またその機序も明らかにされるべきである。