1人抄読部 兼 読書部

生命科学系の論文のサマリーを読んでいきます。また時々趣味の読書の感想も書いていきます。

Rantes/Ccl5 influences hematopoietic stem cell subtypes and causes myeloid skewing.

 2012 Mar 15;119(11):2500-9. doi: 10.1182/blood-2011-11-391730. Epub 2012 Jan 30.

Rantes/Ccl5 influences hematopoietic stem cell subtypes and causes myeloid skewing.

 
造血幹細胞(HSC)は年齢により劇的に変化していく。HSCの絶対数の増加、再構成能低下、骨髄細胞造成増加などがマウス造血の老化の指標となる。今回、我々は、幹細胞環境加齢の過程で、炎症性サイトカインであるRantesが高濃度で見られることを発見した。レトロウイルスを用いて、骨髄前駆細胞にRantesを強制的に過剰発現させると、T細胞の減少とともに骨髄前駆細胞の増加が見られることが分かった。これに対して、Rantesノックアウト動物はmyeloid-biased HSCs や骨髄前駆細胞やの減少を示したとともにT細胞とlymphoid-biased HSCsの増加を認めた。ノックアウトされた造血幹細胞は、それぞれのHSCサブタイプ分布を保持しつつ、移植においてはより多くのlymphoid-biased HSCsを産生した。Rantesの欠損は、またKSL細胞におけるmammalian target of rapamycin (mTOR)活性の低下を招いた。heterochronic移植セッティングでは、高齢HSCを若い環境に置くことで、骨髄系細胞産生が減少することを示すことができた。これらのデータは、年齢関連myeloid skewing phenotypeの確立に環境因子が重要な役割を果たすことを示している。これはまた年齢に関連した免疫力低下にも関与しているかもしれない。