1人抄読部 兼 読書部

生命科学系の論文のサマリーを読んでいきます。また時々趣味の読書の感想も書いていきます。

Large-Scale Clonal Analysis Resolves Aging of the Mouse Hematopoietic Stem Cell Compartment

 2018 Apr 5;22(4):600-607.e4. doi: 10.1016/j.stem.2018.03.013.

Large-Scale Clonal Analysis Resolves Aging of the MouseHematopoietic Stem Cell Compartment.

 
加齢は、造血機能の悪化及び血液疾患と関連している。造血システムは、造血幹細胞(HSC)で維持されており、HSC分画の機能不全は、年齢に関連した造血摂動の鍵となるメカニズムであると考えられている。単細胞移植を用い、私たちは以前に骨髄系細胞に限定した再増殖機能を有する前駆細胞(MyRPs)が若いマウスの造血分画には存在していることを報告した。今回、私たちは、400以上の単細胞移植を用い、HSC分画の年齢に応じた機能変化を分析した。注目すべきこととして、骨髄内において多能性を有するHSCの増殖の程度と比して、MyRPの頻度(割合)は年齢に応じて大きく増大することが分かった。また私たちは、初回の移植では骨髄系細胞に限定して分化能を有していたが、2回目の移植時には5系統への分化能=多分化能を持っている細胞群の存在を同定した。私たちは、この細胞をlatent-HSCsと呼ぶこととしたがこれは、老化したHSCに特有に見られるもののようである。これらの結果は、HSC老化に関するこれまでの伝統的ドグマやこれまでのアプローチ、HSCの定義に対して疑問を投げかけるものになろう。