1人抄読部 兼 読書部

生命科学系の論文のサマリーを読んでいきます。また時々趣味の読書の感想も書いていきます。

Matrix-embedded osteocytes regulate mobilization of hematopoietic stem/progenitor cells.

 2013 Jun 6;12(6):737-47. doi: 10.1016/j.stem.2013.05.001.

Matrix-embedded osteocytes regulate mobilization of hematopoietic stem/progenitor cells.

 
骨髄ニッチは、造血幹細胞、造血前駆細胞(HSPC)のニッチ外への移動・循環(=動員)を制限する多種の細胞型を含んでいる。(※)今回、私たちは、成熟した骨の主要な構成細胞である骨細胞が、HSPCの動員を制御していることを示すことができた。これまでHSP動員に使用されてきたGranulocyte colony-stimulating factor (G-CSF)は、形態学的な変化、骨芽細胞の変化を惹起する骨細胞ネットワークの遺伝子発現の変化を誘発する。骨細胞がβ2アドレナリン受容体を発現していることや、交感神経系摘出によりこれが阻害されることから、この迅速な反応は、おおよそ交感神経のコントロール下にある可能性が考えられた。骨細胞を除去したマウスあるいは、骨細胞ネットワークが破綻しているマウスにおいては、骨髄内には骨髄内に相当数のHSPCはあるもののG-CSF投与に応じてそれが動員されなかった。すなわち、骨髄/骨ニッチ境界面は骨器質内部から厳格にコントロールされており、造血機能関して骨格組織において重要な生理的役割を果たしていることが示唆される。
 
 
 
 
※造血幹細胞および造血前駆細胞はG-CSFの投与により骨髄におけるニッチを離れ末梢血へと誘導される。この現象は動員とよばれる。